野峰〜根本山

石鴨から野峰に直登し、以降馬蹄形に縦走する。   地図(イメージが大きいので要注意)

【登った日】 平成20年4月12日
【天  候】 晴れ
【山の名前】 野峰(1009.9m) 丸岩岳(1127m) 熊鷹山(1168m) 十二山(1148m) 根本山(1199m)
【時  間】 10:20〜18:00
【同行者】  単独行
【コース】 石鴨〜野峰〜丸岩岳〜熊鷹山〜十二山〜根本山〜石鴨


野峰のおもいで。
野峰は今から十年以上前に桐生市の広報のようなものに野峰ハイキング者募集とあったので
おK3とまったくハイキング気分で参加したことがあります。
ハイキングなのでそれなりの服装と運動靴と子供のナップザックを借用しおにぎりと水筒でもって参加した。
ところがである・・参加者の外見が物々しいというか今で言うトレッキングスタイルがほとんどだったのです。
そんな大げさな、たかがハイキングで。しかも市の広報で参加者募集のまったくの子連れ様ご一行コースでしょ?
ところがどっこい最初のうちは良かったが途中から残雪のあるあたりから怪しくなってきて、頂上に至ってはまったくの雪の中でした。
行きにもまして戻りは悲惨なこというまでもなし。
そもそも底の磨り減ったような運動靴の二人は登りに増してこけることこけること、斜面は恐怖です。
それでも何とか雪のないところ間でたどり着き、あまりこけないほかの人との違いにはたと気がつきます。
そうです、靴が違うのです。トレッキングシューズまたは登山靴の人がほとんどだったのです。
そんなわけでその次の週あたりに靴屋さんにトレッキングシューズを買いにいった覚えがあります。

そんな思い出のある野峰ですが、本来のコースは桐生青少年野外活動センターに車をおいて野峰往復5〜6時間の
片道2.5時間〜3時間ペースが一般的です。
根本山〜熊鷹山〜林道のコースが一般的ですが、何とか野峰も一緒にと前々から構想を練っておりました。
地図をじっくり見るとやはり野峰への最短コースは梅田の清水や石鴨あたりからの直登が時間短縮ができ、もっとも
合理的(何が?)という考えに至ったのである。(素人なのに無謀な事を考えたものである)
そこで今回のルートを決行することになった訳ですが、本当は野峰まで行けなかった場はそのまま敗退、丸岩岳で力尽きた場合
はすぐそばの林道に降りる、などと作戦を練りながら総行程6時間(10時〜16時)としました。

そんな訳で朝もゆっくり新聞を読んだりしてゆっくり目の出立でした。(第1の失敗)
梅田までは結構遠く、思ったより時間が掛かり、天満宮の向かいの公衆便所横に駐車したところでもう10時30分です。

天満宮です。

道路を挟んだ向かい側の数メートル上に公衆便所があり、その横が車3台ほど止められそうなスペースがあります。

ここに止めた場合、根本山登山口の不死熊橋から約30分の間アスファルト舗装路を歩けばたどり着けます。

当初は石鴨から林道が標高540m位まで続いていますのでそこを利用する予定でした。その後南南東に向かえば野峰と丸岩岳を結ぶ稜線にでて、野峰へという沢沿いを行くつもりでした。この場合少しであるが丸岩へ行くときに同じ道を戻る事になる。

ところが林道を歩き始めたらすぐに桐生川支流に掛かる半分腐ったような橋が目に止まった。

はたと地図を見る。
ひょとしてこの道は野峰へと続く尾根に出られるのでは・・と思ったときは当初の予定はどっかへ飛んでいきました。

不安定な橋をぷるぷる揺れながら渡ります。

この方針変更が吉は凶かはわかりません。

なんだいい道じゃないか。

楽勝楽勝といったところです。

良かったのはほんのちょっと。
すぐに急登が始まります。
踏み跡なんてありません。

あまりに急峻なのでジグザグ登坂を試みます。しばらく雨が続いていたせいか地盤が少し緩やかです。

トレッキングポールは急な斜面ではかえって邪魔ですがしまってる余裕もありませんので上の方に放り投げて、それを目標にはいつくばって登る・・登る。
切り株や杉の木が体を支える拠点になります。

汗だくになりながら斜面にはいつくばって、尾根まであと少しというところかどうか高度を確認していると、あれ、地図がない・・・先ほどは確かにポケットに・・落としたみたい。(第2の失敗)
取りに戻るかこのまま行こうか等と考えてる暇は無し。そもそも地図とコンパスと高度計のみ頼りの今回のルート外登山であるし、防水の為ビニール素材に挟んである地図は立派なゴミであるので放置するわけにはいかない。

泣く泣く苦労して登った坂を滑りながら転げながら降りる。当然ズボンは泥だらけ。
尻も痛い。やっと地図を発見。

そんなこんなで時間を大幅にロスしてしまいましたがようやく尾根にとりついたようだ。

高度600mで地図の尾根の高度と一致する。

当初予定のルートよりほぼ90度ずれた方角である。

ここで少しほっとして現在地への他のルートは無かったのかと先ほど回収した地図を見る。

清水のあたりから560mの尾根の始まりに直登するのが一番近いと思われるが、そのルートの等高線の幅の狭さよりまず無理であろうとの結論に達した。

今回のルートでも大変だったのだから、これよりもさらにさらに急峻な斜面を素人がどうやって登るの。

尾根伝いに野峰頂上を目指します。

少し余裕ができたと見えて樹間にピンクの花を発見。

あれが良くHP等で見かける有名?なアカヤシオだと思われる。

ズームして撮ってみた。

枯れ木と枯れ草と落ち葉と杉の緑といった初春の山の中でひときわ目立つ、少し心が和む風景ではありました。

いろいろなところに見える訳ではなく回りを見渡してもこのポイントだけの様子です。

満開となる時期にはまだ早いのかも知れませんね。
ただしこの地域がアカヤシオが咲き誇る群生地なのかどうかはまったくわかりません。

その後も尾根歩きは続き、高度900mまで来た時点で一休みです。

今日は天気が良くすでに上半身は汗だくです。特に背中がひどい。

1010mの野峰まではあと110mです。(標高差)

このあたりの尾根はずっと進行方向に向かって左側が杉が植林されており、右側が雑木林です。

先程のアカヤシオはもちろん雑木林側での風景です。

この後も尾根登りが続きますが、人の足跡よりも鹿の足跡と鹿の糞ばかりが目立つ尾根です。

あまり人が歩かないので鹿の通り道なのかも知れません。

鹿の糞は新旧ですが、形状はほぼおなじ大きさです。

吉永小百合の鹿のフンという歌を思わず口ずさみました。

ようやく野峰山頂です。

ほぼ十年ぶりと思われる。

前に来たときは一面雪の雑木林といった頂上ですが、雪は全くありません。

樹間より男体山と思われる山が見えました。

やれやれやっと着いた頂上ですが、ゆっくりとしていられません。

第1第2の失敗でもう12時をとっくに過ぎています。

このままだと根本山の下りはライト頼りになってしまうかも知れない。
この先どうするかは丸岩岳まで行って考えることにしようと山頂を後にします。

しかしここまで誰にも会いません。

野峰を梅田から直登または下山する人はまず居ませんからわかるのですが、野峰山頂はハイキングの人たちがいっぱいいると思っていました。

こんなに良い天気なのですが、やはり土曜日は人が少ない、または山を登る人は朝が早いので皆もう下山してしまったのだろうと思われる。

とにかく先を急ぐととたんに下りでこけた。また尻に痛い思いをしたが、ズボンはすでに泥だらけなので気にならない。

丸岩岳へ向かう途中で今日はじめて単独行の人と会った。

挨拶もそこそこにすれ違う。

ふと後ろを振り返るとそこには夕焼けが・・違う違う野峰がありました。

ズームしてパチリ。

先を急ぐ。

このあたりの道は大変歩きやすい。

笹と点在する雑木の中の道を小走りに駆け抜けます。

少しおなかがすいたなと思いながら、バテ気味ですが歩みを進めます。

すると突然興ざめです。

立派な林道に出ました。

当初ここでギブアップの場合にたどるつもりの林道です。

とにもかくにも丸岩の頂上までは行かなくちゃと、土手のなんてことはない登り口(2mもない)にとりついたらずるずるとまたしても尻餅です。

ネンド質で引っかかるものが無いため足だけで上れません。

しようがないので土手の上の草や木立に飛びついて何とか上ります。

格好なんて気にしてられません。

丸岩岳山頂到着です。

頂上では小学生と中学生の子供連れの若い夫婦と老夫婦(私より年配の)がお互いに山名プレートをバックに写真を撮っておりました。これで合計7人と会ったことになります。

「これから熊鷹ですか?」と聞かれたので思わず「はい」と答えてしまいました。

ここで昼食です。

木陰が無いので少し暑いのですが、まわりを見回しても休めそうな場所はありません。

先着の6名は奈良部山方面に帰って行きました。

さてここでどうするか2時を回ってしまっている。
ここで林道を下れば間違いなく5時前には石鴨に戻れるが・・・・・・、イヤだ、長い林道歩きよりは山道を走った方が良いということで熊鷹へ向かうことに決定。

 

そうと決まれば食事をしてなんか元気になったような気がして走り出す。
(第3の失敗)

少し登りになると早足になるが平坦や下りでは走る。

途中で年配の2名の登山者が前方より必死の形相(?)で走り下ってくる登山者に驚き大きく道を空けて譲ってくれる。

「すいません。」と声をかけてかっとんでゆく。(実際は早足程度です。実はハイトスは椎間板ヘルニアでしてちゃんとした普通の人の走るという行動はできません。)

あと少しで熊鷹というところの道ばたに祠を発見。

最後の急登で6人連れのパーティに「あと少しで頂上だよ」と励まされる。

よほど苦しそうに見えたらしい。

実際苦しかった。

熊鷹山山頂に到着です。

走った(早足?)おかげで30分掛からずに着いてしまった。

山頂には展望ヤグラがあり眺望は最高です。

鳴神山の眺望も360度の素晴らしいものですが、こちらも負けてません。

鳴神よりも位置的に日光方面に近づいているせいか男体山、日光連山が大きく見えるような気がします。

頂上では先に1名の単独行の方と、そしてしばらくしてもう1名。

後続の1名の年配の方、何とノートパソコンを取り出してごそごそやり出しました。

本当は何をやっているのか興味津々ですが、そこはグッとこらえて聞きません。

2〜3言葉を交わして先を急ぎます。

眺望1
眺望2
眺望3

男体山頂上は雲に隠れてます。

つぎの目標は十二山。

途中の道はアップダウンも少なくとっても歩きやすい。

なんか疲れてきて走ることはもうできませんのでここらでペースを落とします。

景色を楽しみながら気持ちの良い歩きが続きます。

根本山まで1.2kだそうです。

十二山はアウトオブガンチュウですか。

ちなみにここでは他に林道へ下る方向の標識もありました。

ここで林道へ降りるよのは結構急坂の連続なので大変ではないだろうかと・・・。

 

十二山到着です。

途中で十二山山頂を迂回するルートがあるようです。

やれやれと一休みと行きたいところですが、根本山で一気に行ってしまえばあとはなんとかメドがたつので休憩せずに次へ。

根本山と十二山の中間地点に十二山根本山神社がある。

まさかりの奉納物が左下に見える。

この祠の裏側、たぶんこの神社の境内だと思われるが少し広い場所があり、野営できそうではある。しかし当然水場なんてものは無い。

十二山根本山神社の沿革が記してあります。
神社のところで道が二つに分かれるが、踏み跡の濃い方に進む(第4の失敗)

画像の様に左側は急峻で、落ちると結構やばそうですね。

同じような道をずんずん進みます。

あれ・・・。

十字路に出てしまった。

しまった、ここで地図を確認すると、どうも神社で根本山山頂を迂回するコースに来てしまったようだ。

まだ日没までは時間がある。

迷わず山頂を目指す。

山頂の標識が見あたらない。

ええい取り合えずこの屋根だけになった祠を山頂代わりにするか。

これ以上ここで時間を費やすわけにはいかない。

後で調べたところこれよりほんのちょっと東に行くと山頂だった。

しょうがないので十字路から登りついたところまで戻り小休憩する。

4時なので日没まではまだまだ大丈夫である。

最悪はライトをつけて暗闇を下山することも覚悟したが、後で考えれば危ないと思う。

何しろ登山の素人なのですから。

さて本日の縦走最後の下りです。

もちろん中尾根コースです。

最初は画像の様な下りが続きます。

あれ、まずいぞ。

ここに来て今日一日の失敗のツケが回ってきました。

左足の関節が痛み出してきたのです。

まずい、こればまずいぞとつぶやきながらもとにかく下山。

ゆっくりでもいいから下山。

途中で今日二度目のアカヤシオの花を発見、

膝が痛い割には余裕があります。

嘘です。余裕なんてありませんでした。

痛いので所々小休止しますので目に入ってきたのです。

かなり降りたところで休憩にぴったしな倒木がありました。

たぶん中尾根コースで登る人はほとんどがここで休憩するのでは無いかと思われる。

本当にあと少しである。

何とか膝が保ってほしい。

この後トレッキングポールを左手の時と右手の時と、どちらが左足(膝)に負担をかけないか試しとところ、何と右手で持った方が痛みが少ないのである。

一番いいのは左足をあげて右足でケンケンすれば良いのだが、と馬鹿な事を考えても痛みは無くならない。

 

えぐれたようになっている。

水の流れでえぐれていったものなのか。

それとも人力によるもの????

とにかくこのえぐれた道を下る。

 

やっと林道に到着です。

あとはひたすら舗装道を歩けば車にたどり着けます。

 

今降りてきた本来の中尾根登り口です。

しかし何とまあ下りに1時間30分も掛かりました。

林道を歩きます。

あら何と不思議、急な下りでは無いので膝に負担が掛からなくなったのかどうかはわかりませんが、左足の膝の痛みがずいぶん和らぎました。

とりあえず良かった、良かった。

ちなみにこの林道ですが、途中ガケ崩れの箇所がありました。

車の通行禁止ですので問題ないか。

やっと不死熊(ふじくま)橋に着く。

中央左のロープが見えるところが沢コースの登山口です。

今度ここにくるときはここを登ることになります。

皆さん(ある程度の経験者)の大好きなコースです。

冬に登る強者もいます。

初心者は経験者と同行で無い限り止めた方がいいと思います。

鎖場や沢歩き岩登りなど盛りだくさんです。

不死熊橋のすぐ横にある桐生川の支流です。

雪解け水のせいで沢はどこも水量が豊富でした。

 

 

入り口のコース案内板です。

この案内板では中尾根コースの下りの標準時間は40分だそうです。

膝が痛いとはいえ倍以上掛かってしまいました。

走ったのが効いたかな。

今度からもっと時間に余裕のある計画でこようと反省しきりです。

この後は約30分舗装道を石鴨の駐車地点までてくてくと。

幸いに膝の痛みは薄らいでいるので水量の多い桐生川を見ながら下ります。

途中1台の木材を運ぶトラックに出会いました。川側にギリギリまでよけます。
今頃こんなところを歩いているのが珍しいのかわざわざ止めて「すまんのぉ、根本山かい?」「はい、そうです。」「フーンそんじゃ」という会話でした。

やっと車にたどり着いて乗り込もうとしてはたと気がつきます。

ズボンが泥だらけだということを。

一生懸命はたいてみますが、どの程度きれいになったかは定かではなく。ただひたすらに・・・。

しょうがないのでタオルをシートにひいてよいこらしょ。なんて座り心地が良いのでしょう。

時計を見るとちょうど6時です。

あー 今日は疲れた。膝も痛いし。でも本日の最大限のルートを回れて非常に満足です。

まだまだやればできると自信がつきました。

これなら鳴神山〜吾妻山の縦走もできそうです。

薄暗くなってきましたので車のライトをつけて帰ります。

 

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