○ 景鶴山

【登った日】  平成22年 5月 1日(土)
【天  候】  晴れ時々曇り
【山の名前】 景鶴山(2,004m)
【時  間】    5:15〜15:05
【同行者】   おK3
【コース】      竜宮小屋〜ヨッピ橋〜ケイズル沢〜鞍部〜景鶴山〜鞍部〜ケイズル沢〜ヨッピ橋〜牛首〜山の鼻〜鳩待峠

我々にとって難関の山、景鶴山。
色々検討の結果、日帰りは例え前泊したとしてもほぼ絶望、山の鼻での幕営も寒いからと言う理由で却下。
それでは残る手段として竜宮小屋又は見晴らしの第二長蔵小屋に泊まる計画を立てた。
天気予報に変わりが出ることを心配し、ギリギリまで予約を入れるのをためらっていたが、何とか大丈夫そうだ。
29日にダメもとで最初に竜宮小屋に予約を入れるとなんと空室有りとのこと。早速予約。やれやれである。
本来ならば予約前金として一人2,000円を郵便振替で送金しなくてはならないのだが、もう翌日なので予約金は結構ですと言われました。
やはり30日は平日なのでいくらか少ないのかもしれない。

Map

1日目:鳩待峠〜竜宮小屋 (12:40〜15:20)

鳩待峠の駐車場までは綺麗に除雪してあり、駐車場も雪はほぼ有りませんでした。2,500円と延長1日分1,000円の合計3,500円を支払います。 登山口まで徒歩3分。
登山口からはずっと雪上歩行ですが、最初はツボ足で大丈夫みたい。
山の鼻までのルートは木道はほとんど顔を出していません。 踏み跡に従いながらツボ足で歩きました。雪は腐っています。
川上川橋まで来ると山の鼻はすぐそこ。魚影はよく見たが無かった。 テントは少なく全部で7張り程度。時間もまだ早いからかな。
小休憩の後尾瀬ヶ原へ。何を見てるかというと・・・。 こんな感じでそろそろ雪解けが始まっていますのでクラックには注意。
しかしほとんどの場所ではどこを歩いても大丈夫。一面の雪原です。 大きな池塘はそろそろ表面を現し始めています。
上の大堀川橋は雪が綺麗に除雪されていました。 この方向に目指す景鶴山が有るはずなのだが。雲に隠れているのか。
牛首の分岐です。
明日は戻りでヨッピ吊橋からここを目指す予定。
木道が顔を出している箇所が何カ所か有りましたが、踏み跡はそもそも木道の横を通っていますね。
ヨッピ川はそのうねうねとした蛇の様な川筋を雪原に這わせています。 竜宮十字路の道標の様です。何とか頭を出しています。
竜宮小屋に到着しました。

雪の階段を下りて玄関へ。

受付で明日の朝食の時間を聞くと6:00とのこと。

5時過ぎには出発したいのでお弁当に変更してもらう。

部屋であるが、この日は全部で7人のみ。
(景鶴山予定は我々以外に1名だけ)

空いているので皆さん個室となりました。

小屋の方には申し訳ないが、ありがたいことです。
(明日以降はこういうわけにはいかないだろうなぁ。)

夕食も大変おいしく、品数もあった。

夕食後に風呂に入り、尾瀬のビデオを見せてもらって9時の消灯。

小屋でスタッフの方に景鶴山のルートについて聞いてみた。
ヨッピ吊橋からは東電小屋までいかずに、県境沿いに1537峰(笹山)と1653峰の鞍部へ向かい、与作岳へ・・・と話すと、もっと良いルートが有るという。
そんな遠回りしなくてもケイズル沢を詰めて、途中で尾根に取り付き頂上直下まで最短距離で行けると言うのである。
注意点としてケイズル沢は雪崩の危険があるので急傾斜となる前に進行方向右手の尾根に取り付くこと。
又、この尾根は直登ルートであるので傾斜がきついのを覚悟しておくこと。
そうすれば与作岳経由のルートより登りで1時間は節約できるとのこと。
わざわざ外に出て「ほれっ、あの樹林帯の尾根を登るんだよ。樹林帯では雪崩は起きにくいからね。」
その後地形図上でルートを記入して再度確認してもらい明日のルートが決定しました。
なんでも登山禁止となる前の昔の夏道だったそうです。


2日目:(5:15〜15:05)

小屋の正面から見た少し朝焼けの至仏山です。
雪がかちかちに凍っていてアイゼンが良く効きます。
最初は景鶴山目指してダイレクトに進みます。
その直線上にヨッピ吊橋が有るはずです。
おK3、完全防寒対策です。
でもね、陽が出て来るとすぐに暑くなると思うよ。
至仏の全体が薄い朝焼けに変わりました。綺麗です。
風がなく寒さはあまり感じなかった。
ヶ岳は逆光なので絵に描いたようなモルゲンロートは期待できず。 ヨッピ吊橋に到着。おK3、怖々と渡る。ゆっくりでいいんだよ。
ヨッピ吊橋からは濃い踏み跡が東電小屋方向に付いているが、我々は
そのままダイレクトに景鶴山を目指してケイズル沢と上ヨサク沢の間を進む。途中心配していた上ヨサク沢の渡渉だが、雪で渡れる所はすぐに見つかる。
上ヨサク沢を過ぎた辺りから雲行きが怪しくなり、最初は風花程度だったのが、だんだんと密度が濃くなりついに雪となって本格的に降り出した。
これは弱ったなぁ、風が出てきて吹雪かれでもすると撤退しなくちゃならないなぁ。
さっきまであんなに綺麗に見えていた景鶴山も見えなくなりました。
不安がるおK3を叱咤激励しながら沢沿いを進みます。
「雨と雪は同じでしょう。雨が降れば雨具を付ければいいじゃん。それと同じだよ」と言って聞かせる。吹雪かない限り前進するのです。
ケイズル沢右岸の支沢には雪崩の痕跡が。この辺りよりケイズル沢自体も傾斜が増してきたので右手の斜面に取り付きます。
これ以上は「雪崩の危険性があるので絶対にそのまま登っちゃダメ」といわれた場所ですので素直に忠告に従います。
振り返ると尾瀬ヶ原が雪でぼんやりとなっている。 斜面に取り付きますが、教わったとおりの急登です。
しかもだんだんと傾斜が増していきます。でも雪が止んだぞ。 これ以上は滑落の危険性が高くなるのでハイトスが先に登り・・・。
支点を見つけて・・・。 おK3が登る・・・を繰り返します。当然ペースダウンですが、慎重を期するに越したことはない。
鞍部に到着して樹林帯を抜けると頂上直下に出ました。
途中の細尾根では雪が渦巻いています。
それを見るだけで怖じけ付いてしまいます。根が小心者ですので。
あれぇ、本日最初の登頂のつもりだったのに誰か先行者がいます。
しかももう降りてきますよ。先行者は2名の男性でした。
この人達はどこから来たのだろうか?とにかく早い。まだ8:20ですよ。
今度は我々の番です。雪の尾根を1歩1歩確実に登ります。
当然アンザイレンですが、いつもおK3は言う。「あなたが落ちたら私は支えきれないからザイルを離すからね。」等と冷たい事を言う。
よってハイトスは絶対に滑落などしてはならぬのである。
目立つ岩までたどり着きました。
雪が多いのでこの岩場も難所ではありませんが、とにかくここまで来る間も左右に滑落すると結構下まで落ちてしまうので緊張の連続です。
今回は岩場よりも雪の細尾根歩きが怖かった。
2度ほど耐風姿勢をとって凌いだが、この強風が怖さを倍増させる。
ついに頂上に到着である。やったぁー。
今年は雪が多いせいか、心配していた途中の岩場が楽に通過できてよかった。
山頂の山名板。
ネットで見たことがある黄色の山名板では有りませんでした。
どなたかが付け替えてくださったのでしょうかね。
至仏山 ヶ岳
尾瀬ヶ原 与作岳方面。
頂上で朝食をと思っていたが、とてもゆっくりと出来る場所では無いのでそそくさと退散することにした。おK3を確保した後は自分自身が滑落しないように慎重に降ります。 前方、左右、どの方向に滑ってもなかなか止まれそうに有りません。
途中の岩場で単独行の男性と出会う。竜宮小屋で同宿の方だった。
やはり下から見ていて雪が風で巻きあがっていたのが見えたので慎重になっているとの事。「うーん、わかるわかる。」
おK3が少し滑って尻餅をついたが何とかとどまっている。
とどまっているので写真が撮れる。
そうでなかったら写真どころではなく一生懸命引き上げている所である。
安全な場所まで降りたので一息ついて山頂を眺める。
あーさっきまであそこにいたのねぇ。雪の細尾根は怖かったなぁ。
この先の木陰で朝食を摂っていると先ほどの単独行の方がもう降りてきた。「山頂は何か怖くて落ち着けないし、下りも心配なので降りてきた」とのこと、正直な方である。我々も同じです。同感同感。
戻りも同じルートで時間を節約することにした。
単独行の方は与作岳ルートで帰っていった。朝は我々より20分以上早く出発したはずであるが与作岳ルートを採ったので頂上では逆になったのだから、やはり今回のルートは時簡短縮には効果ありなのである。
ずっとアンザイレンで下ったのだが、気が緩んだのかハイトスのアイゼン
に雪がダンゴ状態となり踏み出した時にそのまま滑落してしまった。
ほんの短い距離であったがなかなか止まらない。ピッケルのピックを雪面に押しつけると言う教科書通りの操作をしたがすぐには止まらない。
5〜6メートル滑落して止まった。やはり体重をかけないと効きが悪い。
おK3はお気楽で「滑落停止の練習をしてるのかと思った」そうだ。
こっちはそれどころではない。なかなか止まらないので焦っていたのである。ようやくなだらかな斜面となったので頂上部を見上げる余裕が。
ここまで降りればもう安心である。後はゆっくりとケイズル沢を降りる。 樹林帯まで降りてきました。上ヨサク沢の下流に行ってしまうと渡渉出来なくなるので雪に覆われた上流部で渡ってしまわなくては。
最後にもう一度景鶴山を振り返る。
ズームもしてみる。
景鶴山さん、サヨウナラ。
ヨッピ吊橋まで戻りました。ここで尾瀬散策の単独行の方と話す。
これから竜宮小屋へいくそうですが、今年は例年に比べて残雪が多いそうです。橋を渡って今度はワカンを装着。時刻は11:00となった。
一面見渡す限りの雪原。至仏山を背景に。 同じく燧ヶ岳。10時過ぎからは快晴になってきているのでこの時点(12:00少し前)は両山ともくっきりと見えました。
至仏山に向けて歩を進めますが、さすがに疲れが出てきました。
至仏山に雲が懸かっています。よく見ると斜面にシュプールが。
後少しで山の鼻ですが、二人とも長い雪面歩きがずっと続いているので歩みもペースがあがりません。
山の鼻で小休止したあとの鳩待峠までが長く感じたことと言ったらありゃしない。もう何十人もの人に先を譲りました。
当然追い越した人なんてのはゼロです。
歩幅も小さくなって、歩みのペースも遅くなって、結局山の鼻から鳩待峠まで2時間以上掛かってしまいました。
至仏山はこの角度から見てもシュプールが見えます。
ようやく鳩待峠に着きました。
14:57。

つくずく思った事:
一泊してもこの体たらくである。
日帰りを強行したらどうなっていたでしょうか?
考えたくも有りませんね。

おK3が景鶴山の山バッチが欲しいと言うので売店に行ってみたが、やはり無いそうだ。

そもそも登山禁止の山なのでしょうがないか。

残雪期の植生に影響を与えないというこの時期だけの景鶴山登山。

今回は平日である4/30に休みを取っての登山の為、山小屋は空いているし、比較的静かな山登りが出来た。

この山も連休本番である明日辺りから多くの人で賑わう事でしょう。

この時期に尾瀬に集う人々を見てみると・・

1番多いのがスキー客。(至仏山を滑るらしい)
2番目に多いのが写真を撮りに来ているカメラマン(竜宮小屋でも出会いました。)
3番目が尾瀬散策ハイカー(こんな時期でも結構見かけた。)
4番目が登山客(一番少ないのでは無いかと思われる。)

以上、自分が感じた訪問者分析でした。

帰りには久しぶりに花咲きの湯に立ち寄って汗を流した。
真望さんの版画を眺めていると和みます。
この燧ヶ岳の版画がいいなぁ。

※ 5/5 高崎のSさんより、「黄色い山名板はハイ松の根本においてあったので焦げ茶の山名板の下に懸けて来ました。」
との連絡をいただきました。Sさん、情報有りがとうございました。
無くなった訳では有りませんでしたね。


高崎のSさん撮影 山頂山名板の様子。

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