○ 黒沢 (神子内川 支流)

【登った日】 2013年 8月 31日(土)
【天  候】  晴れ
【山の名前】 半月山(1753.1m)
【時  間】    7:00〜15:35
【同行者】  たそがれオヤジさんみー猫さん
【コース】    神子内林道ゲート前〜入渓〜尾根取り付き〜半月山駐車場〜( 神子内林道)〜尾根取り付き〜神子内林道ゲート前

土曜/日曜と雨模様の予報であるが金曜日になって土曜日は何とか天気が保ちそうな予報に変わった。
土曜日で8月も終わると思うと・・今後一挙に秋めいてくるのは目に見えている。
ならば今夏最後の沢に出かけたくなった。
一人で行くと叱られるので藪メンバーに声を掛けることにした。
ななさんは先約有り、みー猫さんは前日に11時間の山行なので起きられれば参加との返事。
たそがれさんはなにやら足尾のマニアックルートを考えていたようであるが付き合ってくれるとのこと。
候補は似田元沢か黒沢である。
似田元沢源流までは長距離のため出発が少なくとも5時前後でないと難しいので却下。
残るは入門向けの沢であると言われる黒沢となった。
お師匠さんから入門向けの沢でケヤキ沢レベルとの情報を得ているのでよく調べもせずに候補としておいた。
さすがに何も無しじゃぁまずいのでネットで記事をあさると山レコの記事と瀑泉さんの記事がヒットした。
読んでみるととても初心者用の沢とは思えない。
ならば、左俣の17m滝、右俣の10m3連瀑の各々手前で滝見物でもして戻りましょうと言うことで軽い歩きとなるはずであった。
ところがこのメンバーで行くとこんな事になってしもうたのです。


「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用した。((承認番号 平24情使、 第654号)」

駐車場に着くとなんとまぁみー猫さんがおられるでは無いか。
この人はどんな体力の持ち主なのか?それとも一晩寝れば体力の回復する、まるで20代のような回復力をお持ちなのであろうか。
林道を歩き始めて適当なところで入渓した。
久しぶりの沢である。
水を浴びて気持ち良いと感じることの出来る最後の機会かもしれない。
正面に堰堤と・・・あれ、上には橋が見えますよ。 橋桁基部に登ってみるが、堰堤は2段となっておりとても越えられない。
橋桁の右側から橋へよじ登った。
お二人はもっと手前から登られたようだ。この橋は黒沢2号橋。
橋から少し林道を歩いて再入渓。
かわいらしい斜瀑がお出迎え。和みまするなぁ。
水流が心地よい。 お次も似たような滝。
水流をかき分けてたそがれさんがゆく。 正面に巨大なヤグラの様な(砂防堰堤らしい)構築物が。その下をゆく。
最初の難関。10m直瀑。しばらく眺めて登れるかどうかシミュレーションしてみると・・右側にルートが見えたような気がした。 よし行って見よう。
右端のバンド状の岩から取り付く。
中間過ぎまでは難なく登れる。怖いのであまり下は見ないようにする。
滑ったなら等というのもあえて考えないようにする。
釣り用の安物渓流タビであるがフェルトのグリッップを信じましょ。
あんたのソールを信じなさい・・ほれ信じなさい・・である。
問題は下からよく見えなかった上部なのだが、ここいらでハタと困った。
右手でなかなかのガバを確保しもう一つのホールドを探す。
左手をグイッと伸ばして・・見ぃつけた。
何とかなりそう。ここはけっこう緊張した。
滝の全体像。みー猫さんが続いて登ってこられた。
あれっ、たそがれさんがいないよ。
なんとこの写真を撮った後で右岸を巻いたようです。
岩登りの得意なたそがれさんですが、どうしたのでしょうかね。
今日はヤケに慎重ですね。(慎重なのは最初だけだったが。)
何とかリーチを最大限に生かして登りきった。
みー猫さんが自分が立ち止まった同じ場所で難渋している。
自分と同じようにホールドを探しているようだがちょっと届かないようである。他に適当なものは自分も探したときは見当たらなかった。
みー猫さんにザイルを垂らすからと声を掛け支点を探しに行く。
支点はこの岩の上部の木まで登らないとないので待っててね・・と話そうとしたら・・・あれ、みー猫さんがいなくなっている。
まさか・・と思って見てみても滝壺には誰もいないようだ。(よかった)
なんという人でしょう・・そのままクライムダウンしたようです。
直瀑を降りるなんて登るより難しいと思うのだが。自分には出来ない芸当です。自分だったらどうしたかというと・・・セミになって上からロープが垂れるのをただひたすら待つだけです。
癒やしの滝はいいですねぇ。
  この滝は壺に入ってよじ登れば・・止めましょ、巻きます。
捲き道は釣り師が付けたと思われるしっかりとした踏み跡が。  
すだれ状の滝。 たそがれさんが右側から登ります。
自分達もそれに倣って右手より。 今思えばここが10mS字状滝だった。当初予定ではここで滝見物して戻る場所なのであるがこの時は全く気付いていない。
続いて10mトイ状滝。水流が結構激しい。
突っ張ろうか、それともトイの水流に足を入れようか。
たそがれさんが突き当たりで停まっている。
おしりがつっかえていますよ・・・。あれ、岩壁に錆びたハーケンが。
ハーケンを見て自分達が来てはいけない場所に入り込んだことを知る。
しかし突き当たりのややオーバーハング気味のチョックスト−ンをたそがれさんが何とかクリアして登りきってしまったのである。

やっと場所が空いたとばかりにハイトスも水流を浴びながら登ろうとするが・・・あれ、これどうやって登るの?である。
色々とトライするが不器用な自分には登れそうに無い。

弱気になっても全然心配ではないのです。
すでに登りきった頼りになるオヤジが上からロープを垂らしてくれるであろうから。

ロープがあれば簡単に。
みー猫さんも登ってきます。

しかし目前でたそがれさんが水流の中で岩を攻略するのを見ていたはずなのであるが・・、なんか不自然な格好で岩を抱えるように登っていったなぁという程度で自分も簡単に登れるであろうと思っていたのであるが、あにはからんやである。

連瀑最後の10mナメ滝である。一見易しそうに見える。
最初にたそがれさんが上部まで登るが停まってしまった。
下で見ていた二人は「そこで左に行く・・左!」等と無責任な事を言う。
どうもホールドもスタンスも何もないので動けないようである。
どれどれと言うことでハイトスも上段まで行って見るが・・・なるほど全く何も無いナメは恐怖心が先にたつ。
一旦戻りましょうかね。しかし戻るのも怖い場所です。
下から見るのとは大違いです。
直登が難しければ左右のどちらかの垂壁を登るしか有るまい。
みー猫さんが空身でトライしてくれたが・・・これはいくらなんでも無理でしょう。

やっぱり滝の直登しか無いですね。誰か一人登ればロープを垂らせる。
再度滑滝の上段まで行って見るがやはり難しそう。
自分が降りて次にたそがれさんが降りてこようとしたときである。
「ああ゛っ−−」と言う叫び声と共にたそがれさんがものすごいスピードで左岸の溝に落っこちていった。
ありゃぁ、ここじゃぁヘリは呼べないなぁなんて馬鹿な事を頭によぎらせながら見に行くと溝の途中の窪みで停まっていた。
下まで落ちなかったのは不幸中の幸いである。
驚いたことに骨はもちろん、捻挫もしていないとのこと。
なんという強運の持ち主なのでしょう。
溝の途中に人一人はまる位の小さな釜状の棚に引っかかったのであり、それが無ければ下まで・・下手をしてトイ状滝まで行っちゃうと五体満足で帰れるはずも無く。
そんな怖い思いをしたのでここいらで諦めて懸垂してトイ状の滝を降りて戻りましょう・・と普通はなるのだが、ご当人のたそがれさんが全くめげる様子が無いのである。
思うにアドレナリンが分泌されてクライマーズハイ状態になっていたに違いない。
水流のナメの直登が無理ならと左側の水流の無い斜面を再度トライするというではないか。

この上の画像はその不屈の男の勇姿なのである。

動きの取れない場所で心配そうに見守るのはみー猫さんである。

このあと不屈の頼りになるたそがれさんは無事登りきり、ロープを垂らしてくれたのである。
ほんとに頼りになるオヤジである。
今度からたそがれさんでは無くて頼りになるオヤジと呼ぼうかしら。

ただロープが絡んでいたらしく飛沫を浴びながらそこそこ待つことになった。滑滝の上部と中間地で身動きも出来ずただひたすらにロープの垂れるのを待つ。なぜかって?そりゃぁ降りようとしてたそがれさんと同じ経験はしたくないのである。ロープを掴むとそれだけで大胆に登れますね。 10mの3連瀑と言うことであるが、これらはつながっている様なものなので30mの滝である。ここは初心者が入っちゃぁいかん場所です。
あとで記録を調べるとこのナメ滝にも残置シュリンゲが有ったとかということでバリバリの沢屋さん達が来る場所ですね。もうおなかいっぱい!。
その後は癒やしの滝が続きます。 やっぱしナメはこんなのが優しくて良いですわ。
地形図に出ない二股分岐。 3人もいるのでお互いの写真が撮れて良い。撮って撮られて。
源頭も過ぎて水流も無くなりました。 ここいらで尾根に上がり半月山の駐車場を目指しましょう。
お二人はここで沢靴から山靴へ履き替え。ハイトスは一日沢歩きのつもりなので準備無し。
フェルト底は笹原では滑る滑る。
お二人には通常でもついて行けないのに滑る急斜面で難儀して余計に待ってもらう事に。優しいみー猫さんが待っていてくれますよ。
そしてその様子をまたまた優しいたそがれさんが撮ってくれますよ。
半月山駐車場までの笹の斜面は結構急斜面でした。 舗装道路に登りつきました。沢登りの終点が舗装道路です。
半月山駐車場。今日は閑散としています。
あのバスが足尾行きなら乗っていきたいなぁ。
ベンチでランチ。お腹もふくれたし・・・さぁ戻りましょうか。
誰も半月山に行こうとは言い出さない。
フェンスを乗り越えて林道に向かいます。 時々半月山と駐車場を振り返りながら林道終端につきました。
赤倉への分岐を見送り・・・。 神子内林道を歩きます。
相変わらずいい道です。 途中で1401m峰へ向かうべく尾根に取り付きます。
1401m峰にはこのような標柱と(34,35)・・・。 東雲山と書かれた手製の山名板が。
神子内集落が見えました。1207峰に向かって降りましょう。 背丈ほどの藪の中で方向確認。
それほどの藪ではありません。踏み跡のような獣道の様な。 ペンキのマーキングがあるので林業関係者の作業道かもしれません。
1207ピークを過ぎてからはほとんど藪も無く里山の尾根歩きの風情。 落ち葉の尾根をトットコ降るたそがれさん。
同じくみー猫さん。この落ち葉がくせ者でフェルト底には恐怖ですよ。
5回以上この尾根でこけました。
その物音を聞いてみー猫さんがシャッターを切ろうとして振り向く。
写真に撮られる前に素早く立ち上がる。(笑)
そんな事をしながら退屈もせずに尾根を降る。
ここは少し細っていた。へっぴり腰でバランスを取って渡った。
最後は金網に覆われた斜面を樹木を頼りに降りきって林道に。 林道歩きは滑らないので助かります。橋まで下りました。
お二人に今日は釜で泳がないのか等とチャチを入れられながら歩いて駐車場。

予定とは異なり初心者が行ってはいけない連瀑帯に入り込んでしまった。

今回はたそがれさんが2度もリードで難局を乗り切ってくれた。

自分はロープのご相伴に預かって助かりましたよ。

みー猫さんは普段はこのレベルの沢を単独で歩かれているので、今日は終始最後方で見守ってくれていたといった所でしょう。

それにしてもたそがれさんは並のオヤジでは無い、たいしたオヤジである。

でもね今回命を削った訳ですから・・・なんて言っているが自分達も同じ場所にいたのである。

一歩間違えば・・・の場所はやっぱり止めましょうね。

今回はさすがに戻りで黒沢の左俣という様にはならなかった。

右俣だけで沢を十二分に味わったからである。

帰ってMさんの著作を再読したところ、10m直瀑もハイライトの3連瀑も高巻くとのこと。

高巻くことにより1級と言うことだったのだ。

事前準備の調査はもっとしっかりとやらなくちゃ・・ですね。


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今回の写真はたそがれさん、みー猫さんから借用した画像が多数あります。いつも有り難う御座います。