○ 塔の峰と舟石新道

【登った日】  平成22年 12月 4日(土)
【天  候】  晴時々曇り(強風)
【山の名前】 塔の峰(1,738m)
【時  間】    7:50〜14:00
【同行者】   単独
【コース】      舟石峠駐車場〜舟石新道出会〜1528m峰〜塔の峰〜日ヶ窪峠〜(舟石新道)〜舟石新道出会〜舟石峠駐車場

塔の峰(1738m峰)は前々から気になる山であった。そしていつか攻略したいと考えていた。
それに拍車を掛けたのがやまのまち桐生のこの記事である。
位置的には中倉山からオロ山へ続く峰々と庚申山の登山ルートとの丁度真ん中を走る稜線の中心となるのがこの山である。
特に山頂の小さなシロヤシオの木が満開となり、皇海山を背景とした素晴らしい画像をネットで見るにつけ、行くのならば春先かと考えていた。
この山の麓には庚申山と舟石を連絡するすでに廃道となった舟石新道なるものが有るらしいのだが、ネット上で探しても確たる情報は入手できない。
しかしブリキの目印が各所に設けてあり辿る事ができると言うではないか。
何故かこういう類のルートは自分で歩いてみたくなるものである。
ネットでの交流なのですが背中を押してくれる人がおりまして、春まで待てずに出掛けることにしました。
帰路の新道探索にて最悪途中で道を見失った場合は丸石沢を源流付近から下る事になるので最初から装備の準備はしていたが、幸いに使うことは無かった。


「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用した。(承認番号 平21業使、第522号)」

舟石新道※1は今回日ヶ窪峠、舟石峠間を踏破し軌跡を青のラインで示す。
新道全体の約半分の行程となります。
入口が判らず舟石集落住居跡からスタートしたが、最初の内は1215m峰の南西鞍部に向かってルートを採った。
結局これが新道では無いが最良のルートと思われる。今回は途中で新道に飛びだした。
復路はそのまま目印に従い新道を辿ったのだが、結果的に遠回りであり且つ途中道がとぎれている場所も何ヶ所か有った。
舟石新道を辿ると言う意味では鳥獣観察舎から真北の斜面を登って行き、時々振り返って樹木に取り付けてある目印のブリキを見つける様にします。
目印のブリキは最初の内は木々の北側に取り付けてる為南側からは見えないので要注意。その後は目印に従って進む事になります。

今回のルートは全て普通の登山道では有りませんのでご留意ください。

舟石峠駐車場に駐車し、鳥獣観察舎少し手前まで戻ると住居跡の石垣が見えるのでここから入り込むことにした。
他にはこれと言った有力そうな踏み跡も無いのである。

この舟石という集落跡ですが、大正時代には最多47戸もの家屋が生活を営んでいたとの事です。
やはり銅山と一緒の運命を辿ったと言うことでしょうか。

方向を1215m峰※2の南西鞍部※3に据えて歩き出すが、ブリキの目印は見つからない。

薄い踏み跡とも言えないようなものを辿って行くと途中で消えてしまう。

少し進むと沢に出たので渡渉する。

水は少ない。

対岸は植林地となり、踏み跡なのか獣道なのか判らないような所を、とにかく方向だけ見定めて登ると突然林道のような立派な道に飛び出した。

ブリキを赤く塗った目印を発見。間違いないであろう。 こんないい道です。鞍部に向かって登りましょ。
1215m峰南西鞍部※3に着きました。
道標にも舟石とはっきりと刻印が。
一部登山道が水流でえぐられている場所が有りますが、注意して通れば大丈夫。
1251m峰西方向の鞍部付近※4です。薄く北北東方面にも踏み跡が有るような気がしますが仁田元川へ下ることが出来るのだろうか?
余計な事は考えずに新道出会に向かいましょ。
新道出会です。
このまま山腹を進むのが新道ですが、往路は稜線を進みます。
順調に行けば復路でここに戻るはずですが・・そうありたいもんです。
1528m峰へは藪も無くとても歩きやすい尾根です。 露岩が出てきました。
何と木にビニール紐が。結構この尾根を通る人がいるのですかね。 中倉山尾根の背景に社山と男体山。半月山も。
1528峰のピークの様子。写真では判らないが今日はとても風が強い。
体を持って行かれそうになるくらいの強風ですので、時々耐風姿勢をとりやり過ごす。
これじゃぁ木が倒れるのも判る。大木もぐらぐら揺れていますよ。
雪は数センチですが、登山靴のソールにダンゴとなってくっついてしまうのがやっかいです。
それと強風に乗って風花と共にこの雪粒が顔に当たって痛いのです。
せめて眼だけでも保護と思いゴーグルを着用。
少しだけ腰近くまである笹藪を漕ぎますが、あまりの強風で笹原は海原の様に波打っています。少しだけも雰囲気は伝わるでしょうか。 進行方向左前方方向に綺麗な山並みが見えた。
あれは袈裟丸連峰でしょうか。すると手前の山が小法師かな。
塔の峰山頂手前の最後の登りです。
とにかく風がすざまじい。
山頂。見たかった風景です。おぉ皇海山が尖って見えます。
白ヤシオの代わりに地面が白くなっていますよ。
強風の中、手製の山名板を取り付ける。

しかしこの強風では今年の冬も持ちそうにないかも知れないなぁ。

とばされちゃいそうです。
この山名板を目にする人は少ないであろう。

本当はここで食事にしたかったのですが、とてもとても。

普通に立っていられない強風ですので、写真を撮って、山名板を取り付けて撤収です。

残念ですがしょうがない。

風で体温が奪われていくのがよくわかります。

途中で皮のグローブに代えたのですが、それでも手もかじかんでしまい山名板の取り付けにも苦労する有様でした。

復路は日ヶ窪峠へ向かって下ります。この岩が目印となる。
尾根が広いので方向を間違えないようにしなくてはなりません。
笹の原を下っていくと又しても大きな岩が。
日ヶ窪峠までの尾根は足尾山塊でよく見られる気持ちの良いなだらかな笹原の斜面です。 日ヶ窪峠にはあっけなく着いてしまいましたよ。
下りですから余計ですね。
あそこに見えるは庚申山でしょうか。 さて、いよいよ本日の核心部、舟石新道探索の始まりです。
このブリキの目印を頼りに舟石峠を目指します。
陽の当たらない斜面は雪が残っているので滑らないように注意。
新道を歩き始めてしばらくすると前方に緩やかな下りの斜面が広がり、目印のブリキも見あたらない。はたと困ってしまう。
ダメならこのまま斜面を下ればいいのですが・・・出来れば避けたい。
いくら目を凝らしても踏み跡らしきものも見あたらないではないか。
するとひょいと真後ろを見るとブリキ目印を発見。
目的方向とは逆方向に進むのが道順らしい。こりゃぁわかりにくい。
日なたの斜面は快適な山腹トラバース道となります。
大きな岩屋の様な場所で休憩。行動食を摂る。 丸石沢の源流付近を渡渉する。日なたなのにツララが融けていない。
渡渉した後で丸石沢源流付近の流れを見下ろす。
今回目印を失うとこの沢を下ることになるのだが、今のところ大丈夫。
目印のブリキは一定間隔で律儀に導いてくれます。
新道は山腹をトラバースするように続く。
このように歩きやすい場所も有れば道が消えてすんなりと歩けない場所も有ったりですが、事前情報通り目印がふんだんですので安心です。
新道出会の場所に近づくに連れて岩場が多くなってきます。 新道出会に無事戻ってこれました。後は往路の道を辿ります。
往路の新道に飛び出した地点以降は新道の目印に従い進んでみます。
正面に備前楯山が見えてきました。
往路に渡渉した沢のずっと上流で渡渉します。
このあたり所々道が消えますので目印を良く探しながら進みます。
最後まで目印のブリキに導かれて出てきた場所がここです。

何と鳥獣観察舎ではないですか。

と言うことは往路で入口を求めてうろうろして通ったルートと交差することになりますね。

この降り口は鳥獣観察舎の真北に当たります。

判ってしまえばなんてわかりやすい登山口なのだろうか。

登山口入口の目印が必要ないはずですね。

駐車場に戻りました。他には1台だけ。備前楯山でしょうか。 駐車場からも男体山がよく見えます。

朝の話であるが、駐車場に着いて支度をしていると、なんとバスがやってきました。

リーダらしき人2名がこちらにやってきて話を少し。
皆さんやはり備前楯山と言うことでした。

塔の峰へ行くと言っても判らない様なので庚申山の東に有る山と言いましたが、人様への説明に困る山であることは確かですね。

今回舟石新道の約半分を走行出来たが、まだ半分残っている。
猿田彦神社の少し手前に入り口が有るようだが、当然標識が立っている訳でも無いのでやはり入口探しがやっかいそう。
逆に丸石沢から入って日ヶ窪峠から猿田彦神社を目指せば自ずと入り口は判るのだが。

とりあえず宿題にしておこう。

塔の峰を目的とする場合は往路に採ったルートで登り、戻りも同じ稜線沿いに戻るのが時間的にも体力的にも最良と思う。

とにかく今日は2つの目的が達成出来て大変満足です。

桐生みどりさんからコメントをいただきましたので追記します。情報を有り難うございました。

※1 この道は元々「新道」もしくは「庚申山新道」(現在の林道のルートを旧道と呼んでいた。)と呼ばれていた。
※2 
向山
※3 熊ノ平(山ノ神)
※4 乗越峠

ホームに戻る