椀名条山 氷室山

黒坂石バンガロー村から根本山へ向かいグルリと1周し、椀名条山、氷室山を経て戻る。
先週は土日共に雨天の為、山行を控えていたので今週は満を持して土日の山行である。

前々から根本山から北の氷室山へ行ってみたいと考えており、かつ椀名条山も何かと気にかかる山でした。
その両方を実現するコースが椀名条の林道と椀名条山ルートを組み合わせたコースで、どちらが先かは長い
林道歩きを最初にするか、最後にするかの違いだけで、多くの先例情報がありました。
しかし林道歩きはイヤである。そこで林道のかなり奥に山神社なる場所があるのだが、そこまで車で行き、帰りは
椀名条山まで行った後、少し戻り直前のピークから比較的なだらかな斜面を下り、山神社まで行くと言うコースを地形図を見ながら
考えてみた。
この場合最後の椀名条山から神社までの下りが登山道を外れるし、下れるかどうかは定かではないのである。
よくよく吟味してみると山神社から根本山への登山口までしばらく林道を歩くようである。ウーンこれもいただけない。
とにかく林道を一切歩かずに今回のルートを実現することは出来ないか?。出来るのである。
とっかかりの黒坂石テント村から直接南の尾根に取り付きそのまま尾根伝いに行けば根本山と三境山のルートに合流出来るではないか。
問題はそこまでのルートが一般登山道などでは無いことである。
単独の場合は問題無いが、今回はおK3が同行者である。
前に根本沢コースでミスコースをし、ルート外の走行でひどい目に遭わせているので少し躊躇したが、
「林道を歩かなくても行けるルートが見つかったよ。」とのみ伝え、とにかく行ってみることにした。
たぶん大丈夫だろうと。

地図

【登った日】 平成20年5月17日
【天  候】  曇り時々晴れ時に雷
【山の名前】 椀名条山 
【時  間】  08:10〜18:20
【同行者】  おK3
【コース】     黒坂石バンガロー村〜根本山〜十二山根本神社〜十二山〜宝生山〜氷室山〜椀名条山〜黒坂石バンガロー村

 

今回も不確定要素がある為、地元の山とはいえ早めの出発となりました。

到着した黒坂石のバンガロー村管理棟前の分岐を右に少し入った所にフィールドアスレチックがあった。

そこの空き地に駐車した。

目指す登山口は道路を挟んでその先にある沢を渡った場所である。

今回は一般ルート外の走行なのでGPSを頼りとする。

沢に向かって踏み跡があるのでたぶんここだろうとあたりをつける。
最初に沢渡りである。

うまい具合に石が配置してある。

根本沢コースで鍛えてあるのでおK3も余裕で渡ると思われたが何と石に滑ったらしく左足をすっかり水没させてしまった。

幸い前日に靴にたっぷりと防水処理を施してあったため事なきを得る。

沢を登り切ったところでとたんに困る。

道どころか明確な踏み跡もない。

地図を見る限りとにかく尾根に取り付けば大丈夫と思われるため、急斜面の直登を試みる。

おK3は少し不安そうだが、強引に先行する。

あれほど嫌がっていた道無き道(斜面)の急登である。

下方にかすかに沢の水面があるので斜面の傾斜がどの程度かおわかりになると思う。

とにかく尾根に取り付くまでおK3用のルート選びに苦労しました。

この時点でたぶん「だまされた」とか「あんなに人の行かない所はイヤだって言ってたのに」と思っていることはほぼ間違い無い。

自分自身こんなに急だとは思っていなかったが、登り始めたら戻るわけには行かない。

上を目指すのみ。

尾根に取り付いたはいいが、その尾根も2本足で立って登れる傾斜では無いため、画像の様に木や岩が無いところは、はいつくばる事になる。

この時点で「またまたこんな所に連れ得来て申し訳ない」と少し反省しているハイトスであった。

でも先に進むしか無いのである。

白い様な半透明の様な植物を見つける。

名前などは全く分からないが、この植物が育ったらどんなになるのだろうと写真に納めた次第である。

 

※楚巒山楽会代表幹事さんがおしえてくださいました。
「ギンリョウソウ」という代表的な腐生植物で、きのこではなく草だそうです。漢字では「銀竜草」となるようです。自分自身では光合成が出来ない植物だそうです。

ようやく標高778mのピークに到達した。

急登は終わりである。

この先は地図の等高線を見る限り、ほぼなだらかな尾根渡りになるはずである。

ここからはとても歩きやすい尾根歩きとなった。

気になる点は踏み跡と呼べる人間の歩いた形跡がほとんど見えないことぐらいである。

しかし直線距離でほんの400m位進むのに1時間以上掛かってしまった。(標高差は180mであるが)

 

ツツジが綺麗である。

この時期どこの山も雑木林はこのような風景が見られる。

尾根は鹿の足跡と糞。

人の足跡は一つも見あたりません。

所々に熊の糞が。

おK3が大騒ぎするかと思いきや比較的冷静です。

騒いでもしょうがないとおもっているのかどうかは本人に聞いて見るしかないが、とてもとても聞きにくい。

そのうち大きな熊の糞がまとまって3つもある場所があった。

「熊の便所だね。」といったら嫌そうな顔をしていた。

地図の896mのピークに到達です。

今まではほぼ尾根伝いの為、進行方向に迷う事は無かったが、ここはピークのため、今来た方向を含めてどの方向へも行ける。

おもむろに地図とコンパス。

予定ルートではほぼ真南に向かうので、南に下る。

GPSで現在地を確認出来るので安心である。

時々位置確認を行った。

尾根歩きは衛星を捕まえやすいのか、ほとんどFIXしているようだ。

 

なだらかな尾根歩きといえども小さなUpDownはつきものです。

木に捕まりながら斜面を下るおK3です。

枯れ葉と枯れ枝と鹿の糞しかない地面に何か目立つ者を発見。

初めて人造物を見た。

おK3が「薬莢じゃないの」と言う。

ハイトスは薬莢なるものを見たことも無いので分かりません。

結局「なんだろうね」と行くことで先を急ぐ。

誰か分かる方、教えてください。

赤い部分にはWINNER何とかとアルファベットがあるばかりで、日本語表記はありませんでした。

薬莢は全部金属の様な気がします。

戦争映画の見過ぎか?

途中で左斜面の杉の植林地の木々にテープが巻いてあります。

鹿が樹皮を食い荒らすのを防ぐ目的らしいのですが、何となく「ブレア ウィチプロジェクト」を想起させてくれますね。

 

獣道を行きます。鹿の足跡(踏み跡)がふた方向に分かれてます。

とにかく尾根は歩きやすいのですが、獣の足跡のみと言うのが何とも面白い(ハイトスは)。

少し痩尾根となるも木があるため全く問題がない。

ここへ来て傾斜が急になる。

この痩尾根は傾斜は急だが、木の根がしっかりしており登りやすい。

一歩一歩踏みしめながら上を目指します。

ちなみに左右どちらかに落ちると悲惨な目に遭うことは言わずもがなである。

ただひたすらに「ゆっくりでもいいから慎重に」と言う。

ストックを2本使用しているが、実はこんな所は格好つけているより、猿の様にはいつくばって4本足で登った方が安全でかつ早いのかも知れない。

ついにと言うかようやくと言うか、やっと1022mのピークに到達しました。

ここは三境山と根本山のルート上のピークです。

ようやく地図に載ってないルートの走破終了です。

当然ですが、今までのコースには目印のマークは一切ありません。

 

おK3も嬉しそうです。

しかし出発してからもう4時間半も経過しています。

12時半を回ってます。

時間をかけ過ぎです。

当初の予定ではこの時間には根本の山頂でゆっくりと食後のコーヒーでも飲んでるはずでした。

少しの休憩の後すぐに出発です。

この後はちゃんとした普通の登山道なので、予定した通りの時間で行動出来ると思いますが、ここまでくるのにすでに2時間のロスがあるため、最終的にゴール到達時間は日没近くになってしまいます。

この後のペースをあげざるを得ません。

最悪は氷室山、椀名条山へ行くのを諦め、十二山からちょと行ったあたりで林道に降りるルートに変更せざるを得ないかもしれません。

 

根本に向かう途中に伐採地がありました。

今度は何を植えるのでしょうか。

鎖場です。

根本神社の鎖場に比べれば何ということはありません。

おK3も全く怖がらずにすいすいです。??

鎖は安心感を持たせるように張ってある様です。

この場所は鎖に頼らないと危ないかも知れない。
鎖の後はとらロープです。

頼りになります。

このあと地図に寄ると根本山山頂へ直登のはずなのですが、道なりは大きく山頂を大きく西に迂回し、見覚えのある峰の平と中尾根十字路の中間あたりに出てしまいました。

ルート的には大きく回り道をしたことになります。

ただでさえ急いでいるのになんてことでしょう。

中尾根十字路に到着です。

本来の予定では根本山頂で昼食の予定でしたが、時間がないので山頂はパスし、迂回路を行きます。

昼食も根本十二山神社でとることにします。

とにかく先を急ぎます。

途中で雷が鳴り始めました。

東方向の空が曇ってきました。

頼むから雨が降らないようにと祈りながら先を急ぎます。

根本十二山神社です。

先日もおじゃましましたね。

今日はお昼もそこそこに十二山を目指します。

あっという間に十二山頂上直前の分岐です。

直進は十二山頂上。

右は十二山山頂を迂回し、熊鷹山へ。

左は今回目指す氷室山方向です。

道標は宝生山となってます。

宝生山はここから氷室山へ行く途中の山です。

十二山からの道は熊鷹への道と同様に歩きやすい道です。

時々鳴る雷を気にしながら先を急ぎます。

このルートで本日初めて単独行のハイカーと出会いました。

氷室山までの間で2人に会っただけです。

時間が遅くなったのとこのルートなのでそんなものなのかも知れません。

ルートから少し中に入ったところに宝生山がありました。

木立の中で展望はありませんが、回りにはシロヤシオが満開で、雰囲気の良い頂上です。

 

シロヤシオです。

色が色だけにわかりにくいですね。

もっとゆっくりしたいのですが、先を急ぎます。

氷室山へあとすこしのところで見つけました。

実は写真を撮るとき石の記述を見て撮る気になったのですが、

今はなんて彫ってあったのか思い出せません。

道祖神だったか何かだと思いました。

ようやく氷室山神社に到着です。

山頂は祠の裏山の様です。

雨が降らないようにとお祈りし、柏手を打ちました。

氷室山山頂です。

このほかにも山名板がありますが、中に「永室山」なるものもありました。

山頂全体はこんな風景です。

これと言って特に特徴はありません。

ごく普通の山頂風景です。

やはり祠のある神社の方が趣が感じられます。

椀名条山方面への分岐はいつの間にか分岐していたという風です。

地図上では進行方向に直角に左に曲がる様なのですが、実際は判読不明の案内板があるY字路で、たぶんこちらだろうと左へ行くとこの祠です。

左に見える木についに「椀名条山」の文字が現れました。

ゴールである黒坂石の名も見えます。

これから先もそうなのですが、椀名条の条は條が使われています。

なだらかな下りが続きます。杉と雑木が混ざった下草のほとんど無い緩やかな斜面を行きます。

 

突然に視界が開けます。

大伐採地です。

遠くに林道が見えますが、あんなに上まで行っているのですね。

視界がひらけた所で記念撮影です。

おK3の両膝にはサポーターが装着されています。

下りで膝が痛いときのために今回からアイテムに加えました。

早速使用しております。

遠くに今まで通過してきた山々が見えます。

左が根本山、真ん中が根本−三境ルートへの合流地点のピークです。

しかしとんがって見えますね。

確かに最後の急登は大変でした。

その手前に見える尾根が通過してきた所です。

鹿と熊の生息地ですね。

右は何という山か分かりませんが標高1100m前後のピークはたくさんあるので無名の山かも知れません。

伐採地の山(苗木保護の為に鹿の防御ネットが張られている)を2つほど越えると本日のもう一つの目的である椀名条山へ到着です。

山名板がたくさんあります。

 

山頂で記念撮影ですが、ハイトスかなり弱ってます。

左膝の保護のサポーター着用です。

展望はほとんどありません。

しかし、やっとこれたと言う満足感があります。

後は下るだけです。

途中で大きな松の木がありました。

変わっているのは幹の途中から模様が変わっているのです。

上に行くほど模様が細かくなっていく様子が画像でも分かっていただけると思います。

下りがずっと続きますが、道は歩きやすく又迷うこともありません。

所々手書きの道標もあり、結構通行量のある人気のコースなのかなとも思います。

どんどん下って沢の水音が聞こえて来ました。

ゴールはすぐそこです。

するとなんと丸太で出来た遊歩道が出現しました。

しかしこの木道がくせ者です。

しっかりとしているのですが、表面に苔がはえていて滑るのです。

特に今回は濡れているため余計に滑りやすくなってます。

おそるおそる横向きに、一歩一歩進むしかありません。

もうすぐ日没となります。

あと少しと言うところで急にペースダウンです。

降り方はこんな具合です。

滑ると木道の終点までごろごろ転がること必至ですので、慎重に慎重に。

この後なんか見覚えのあるものが目に飛び込んできます。

何と朝の出発場所のフィールドアスレチックの木製遊具です。

止めてある車も見えました。

18:20着

日没まであと少々ですが、何とか帰り着きました。

やれやれです。

黒坂石のキャンプ場はもっと開けた場所のイメージがありましたが、思ったより山間でした。
キャンプ場の他にバンガロー村と言うことでバンガローが何棟もありました。

とにもかくにも本日の目的でありました、「黒坂石を起点とし、根本、氷室、椀名条の周回コースを林道を一切使わずに走破する」を成し遂げ、
疲れましたがとても満足です。

氷室神社でのお祈りが効いたのか、何とか天気も保ってくれました。ありがたいことです。

今回の反省:おK3と同行の一般ルート外の山行は予定外のことが多すぎる、危険であり、かつ本人ももう二度と嫌だと言っているので今後は慎む事。

総行程 10時間の長丁場でした。

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