○ 槍ヶ岳

夏の天候不順により北アルプス山行は順延に次ぐ順延となり、シルバーウィークである9月末が最後のチャンスとなった。
幸いにも天気予報はまずまずである。
しかし年間でも尤も混雑すると云われる3連休は出来れば避けたい。
そこで保留していた夏休みを利用し、2日シフトにて念願の槍ヶ岳へ出かける事にした。
登山計画は種々考えられたが、K2Cのお二人の事例をそのまま採用させてもらった。
槍ヶ岳山荘泊ではなく南岳山荘泊にして、さらにもう1泊穂高周辺での泊を追加することにより大キレットを渡る奥穂へと続く縦走も考えられたが、我々には技量的、体力的に無理があるので諦めざるを得なかった。
今回は槍ヶ岳登頂と稜線上の3000m級3座登頂を目的とする。


【登った日】 平成23年 9月 25日 (日) 〜 27日(火)
【山の名前】 槍ヶ岳 (3,180m) 大喰岳 (3,101m) 中岳 (3,084m) 南岳 (3,033m)
【同行者】  おK3


「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用した。(承認番号 平22業使、第547号)」

 

【1日目】 9月 25日 (日)
【天  候】  晴時々曇り
【時  間】  09:40〜14:30
【コース】  上高地BT〜明神〜徳沢〜横尾〜一ノ俣〜二ノ俣〜槍沢ロッジ

桐生を6時に出発し沢渡の駐車場には9時、丁度3時間で到着した。
初日は移動日となるが宿泊予定場所の槍沢ロッジまではほとんど登りらしい登りのない行程です。

市営第二駐車場へ。1日500円。バス・タクシー乗り場へ行くと今にもバスの乗車券を買いそうなご夫婦に声を掛け相乗りでタクシーに。 ほぼ一年ぶりの上高地です。
河童橋と吊り尾根。穂高もいいなぁ。でも今回は槍が先です。
明神で最初の休憩。明神岳が尖っていますよ。 歩くたびに明神岳の眺めが変わります。
徳沢につきました。ここのテン場は芝生で気持ちよさそうですね。 穂高、槍、蝶ヶ岳への登山起点である横尾です。平地歩きはここまで。
横尾の道標の上に大きなキノコが。戻りもそのまま残ってましたよ。 横尾からは登山道らしくなります。
沢音を聞きながら。 一の俣。
綺麗なアクアブルーを見て思わずシャッターを切る。 二の俣。
上高地の水は上流はもちろん下流まで綺麗に澄んだ清流です。 登山道はよく整備されています。
沢の中の木ノ根っ子。龍の頭にも麒麟の頭にも見える?。 徐々に細くなる槍沢に沿って歩きます。
小さな水力発電設備が見えたらロッジはすぐそこです。 今日の目的地、槍沢ロッジです。

ロッジの混み具合ですが、余裕のある寝床指定です。
寝床は上下2段で2階部分に割り当てされたのですが、この部屋は上下とも4人ずつで、定員の半分ほどではないかと思われる。
2日シフトの目論見は大成功である。
この槍沢ロッッジですが、なんと風呂があり午後3時から入れるとのこと。
せっかくなので時間になると同時に入浴してみた。
汗を流してサッパリ出来た。
男風呂は湯船が2つあり各々4人ずつ一度にお湯につかれます。
女風呂は湯船は1つだったそうです。

【2日目】 9月 26日 (月)
【天  候】  曇り時々晴れ
【時  間】  06:00〜14:00
【コース】  槍沢ロッジ〜ババ原〜天狗原分岐〜天狗池〜稜線分岐〜南岳〜中岳〜大喰岳〜槍ヶ岳山荘〜槍ヶ岳〜槍ヶ岳山荘

槍沢ロッジにて5:30からの朝食後出発する。
今回の山行ですが、初日はロッジまで行くだけ、そして3日目は帰るだけなのでこの2日目に山登りのすべてが凝縮されています。

ロッジ玄関前の水場で採水し、さぁ出発です。 ヘリの発着場から槍の穂先が見えました。テンションが上がりますぜ。
ナナカマドが赤い実をつけていますが目もくれず・・・。 ガレ場は今にも落石がありそうで足早に通過する。
ババ原に到着。一本入れる。テントが3張り。水場もあります。 槍沢はさらに細く。
大曲り。ここを少し過ぎると槍が見えるはず。 振り返ると赤沢山。
山の景色がだんだんとアルプスらしくなってきましたよ。 地形図ではそろそろ天狗原への分岐になるので本道から分かれて歩き出すと途中で濃い踏み跡に出た。現在の分岐はもう少し上のようだ。
目の前に天狗尾根の岸壁が圧倒して迫ってくる。ここは左から巻く。 槍ヶ岳。周回して夕方前にはそちらに行くから待っててねと。
ゴーロ帯を行く。 斜面を登り切ると下に天狗池が見えました。想像していたより小さい。
残念ながらガスが出ていて逆さ槍はみえません。先を急ぎましょ。
天狗岩だそうです。
南岳まで2.1kmとあります。
少し登ると雪渓が残っています。これは万年雪ですね。
天狗池の水はこの雪渓がある限り絶える事は無いでしょう。
最短距離を採るので雪渓を歩きます。おK3も渡ります。
風景はアルプスらしくなって来ましたよ。 上部にガスが濃く垂れ込めているのが残念。
横尾本谷を見下ろします。奥に見えるギザギザは穂高の一部でしょう。 横尾尾根を背景に。渡った雪渓も見えます。
上を見上げて稜線を探すが相変わらずガスっています。 梯子が登場で安心です。鉄アングルでできた梯子を登るおK3。
今度は錆びた鎖に誘導されて登ります。 下を見ると吸い込まれそうです。
ようやく稜線に到着。
横尾尾根分岐と云うらしい。
ザックをデポして南岳へ向かいましょ。
晴れていれば素晴らしい稜線歩きなのだが。
南岳山頂。真っ白白助で残念賞。でも3000m級のピークですぞ。 風が冷たいのでフリースを着用。稜線を中岳へ向かいます。
これで晴れてりゃ素晴らしい景色なのになぁ。 2986m峰はケルンが積んでありました。通過するのみ。
瞬間ガスが切れたので泡を喰って撮す。笠ヶ岳が見える。 さっきまで全く見えなかった中岳がその全貌を現す。
中岳頂上に着いて1本。ガスの中なので何にも見えません。 中岳からの下りは最初は急峻です。慌てずにお尻を付いてゆっくりと。
またまた鉄の梯子が出てきて安心して降りられます。 先に見えるは大喰岳山頂部。
またまたガスが晴れて堂々とした飛騨の名峰笠ヶ岳の全容が見えました。この山は是非登ってみたいものだ。素晴らしい山容ですね。 背景の中岳への稜線が少しだけ見えました。すぐに撮す。
このようにガスの切れ間の瞬間を逃してはいけません。
踏み跡が交差する大喰岳山頂です。ここも3000m級。 槍ヶ岳と槍ヶ岳山荘。よくもまぁあんな所にこんな大きな山荘が・・と思う。
峠へ下る途中で撮しているのは常念岳を背景にした殺生ヒュッテ。 飛騨乗越です。ちょいと登れば山荘です。
テン場を通過。ここの場所取りは早い者勝ちだそうです。(若者談) 槍ヶ岳山荘に着きましたよ。ガスの中。
山頂はガスに巻かれていますので先に宿泊手続きをして少し休憩しましょ。ここは槍沢ヒュッテよりもっと空いていて2段の上は空きで下の段も4名での利用。ちなみに我々の利用番号は1〜4まで。でも敷き布団一人一枚です。聞くところによると24日は1枚の布団に5人だったとか。
しかし付番が最初から布団1枚に付き2つというのは・・それが標準?。
1時間待ってもガスが晴れそうにありませんので兎に角槍の穂先へ行ってきましょうか。完全防寒で空身で登りましょ。
しかしおかげでせっかく持ってきたスリングをおいて来ちゃいましておK3に文句を言われる。
何のために持ってきたのよ!。もっともですなぁHi。
少々の岩登りの経験が無いと辛いかもしれません。
何度も3点支持をくどくど云って確認する。梯子や鉄杭がある場所は良いのですが、おK3が岩場を自力で登るのにホールドの場所が届かずちょっときついところが2箇所ほど有りました。
高岩を自力で登ったのだからこれくらい大丈夫でしょと云うと、「そういわれればそうなのかしらね」と云いながら岩場をこなしていきます。
真ん中に見えるのが最後の階段。
槍の穂先に到達です。背景は真っ白ですが、念願の山頂に立った満足感に浸ります。三角点もありましたが固定されていなくてぐらぐらでした。 暫くすると瞬間的にガスが晴れてみなさん一斉に撮影大会です。
聞くと1時間もここにいるがようやく撮せたという人もいて。
遙か彼方まで北アルプスの峰々が見渡せます。 ガスが切れるのは一瞬だけ。あとはこの通り。これが小槍でしょうか。
もう一つ候補がありましたが。どちらも踊れそうにありません。
さぁ山荘に戻って夕飯にしましょ。下りも結構慎重になります。
腰が引けていますねぇ。おK3、登りの時は写真を撮す余裕がなかったのに下りではどうしたのでしょうか。
山荘がすぐそこの距離まで降りるともう安心です。
緊張が解けて正直ホットとします。
後は夕食をいただいて談話室でビデオを見てゆっくりとします。
夕方もう一度外に出るとガスが晴れて雲海の上に北アルプスの峰々が。 夕日に映える槍ヶ岳。この時間に登っている人もいます。
さぞかし素晴らしい360度が楽しめた事でしょう。
夕日が沈みます。

大勢の人が外に出て夕日を眺めています。

遠くに見える山々を見てどれが何という山かを説明してくれる人がいて助かります。

しかしまぁよくわかるもんですなぁ。

室外は夜になると当然氷点下ですが、山荘は思ったより暖かく寒さは感じません。

さぁ明日は帰るだけですのでゆっくりとワインでも飲んで眠りましょ。

 

【3日目】 9月 27日 (火)
【天  候】  晴れ
【時  間】  06:10〜14:55
【コース】  槍ヶ岳山荘〜坊主の岩小屋〜天狗原分岐〜大曲り〜ババ原〜槍沢ロッジ〜横尾〜徳沢〜明神〜上高地BT

御来光はまぁいいやとなってしまった。
槍ヶ岳山荘にて5:30の朝食後出発する。
今回は帰るだけですのでゆっくりと景色を楽しみながら戻りましょう。
でも距離が長いので徳沢から上高地までは平地歩きなのにやけに疲労感がありました。
やはり3日目ともなると体力が続かないのかもしれませんね。

朝の槍ヶ岳。おK3がもう一度登りたいと本気とも冗談とも取れる事をいうが、登山者が数珠つなぎの様になっていて、難所では渋滞になっている様子がよく見えたので諦めてもらう。 左が双六方面、右が大キレット穂高方面。
我々はまっすぐに槍沢に降りる。
雄大なU字谷を眼に焼き付ける。 おK3が尻餅をつく。幸い尻が痛いだけですんで良かった。
殺生分岐の道標と東鎌尾根。 カールをゆっくりと下ります。
何度も横や後ろを振り返っては何枚も写真を撮ってしまいます。
今日は本当に良い天気で、写真を撮るにも最高の条件です。
槍ヶ岳。
いつも遠くから眺めていたあの頂に立つことが出来たのは大きな満足ですが、富士山と同様、この山もこうやって眺めるのがより素晴らしい。
ズームしてみる。云う事無し。 草紅葉と岩稜と。見ていて飽きませんね。
播髀辮lが開山時に拠点にしたと言い伝えられる岩屋。 この場所は坊主岩屋下というらしい。右手に行くとヒュッテ大槍。
岩屋から少し下ると水場です。ここで今日一日分の採水を行います。 遠方に槍沢の源頭部辺りが見ますが、水が結構勢いよく流れています。
カールと天狗尾根の岸壁。昨日とは色合いが違って見えます。 昨日通過しなかった天狗原分岐点。ちゃんと道標がありましたね。
大喰岳から南岳へと続く稜線を振り返る。 まだ細い流れの槍沢に沿って下ってきます。
主稜線が見えるのはここが最後で見納めです。サイナラ。 後は横尾尾根の山肌を眺めながら下ります。
槍沢ロッジで休憩。ここでリンゴを食べます。
せっかく重い思いをして背負ってきたので軽くしなくちゃ。
あとグレープフルーツもあったのだった。
槍沢の水流は豊富で澄んでいて綺麗です。
時々魚影が・・結構大きいのもいましたよ。
釣り師はいませんでしたので禁漁区なのかもしれませんね。
横尾に着いたので1本。
グレープフルーツを食べてビタミンCを補給しましょ。
後は平坦な道を明神岳を眺めながらテクテクと他の登山者を観察しながら歩きます。いろんな人がいます。
徳沢ロッジ。まだまだ緑が綺麗です。ここら辺りから登山者以外の旅行者も多くなってきます。 明神岳は各々の峰に名前が付いていて、総称が明神岳だそうです。
平坦なのですが3日分の疲れも出て結構ヘロヘロになっています。 明神館に着きました。あと上高地まで40分ほどですが最後の休憩。
上高地BTでお土産の一つも買って沢渡行きのバスを待ちます。
15分ほどでバスがやって来ました。乗客は半分もいませんよ。
広い沢渡市営第二駐車場は御覧の通りガラガラです。
平日ですものね。
駐車場から松本寄り方面に下ってすぐの場所にある「さわんど温泉梓湖畔の湯」で汗を流す。

700円也。

源泉掛け流しで露天風呂も有った。

露天風呂の温度が少し低いので、ゆっくりとつかり手足の筋肉をほぐして3日分の疲れを癒した。

富士山と槍ヶ岳。

この二つの山は色々な場所から見えて目立つので、日本の山のシンボル的な意味合いを持つ。

このため余計に人気があるのであろう。

今回念願が叶い登頂できたので、今後他の山から眺めたときの感慨は今までとは違ったものとなるでしょう。

2日目の天候はガスが出て残念では有ったが概ね3日とも雨や雷雨にも遭わずにずんだのでヨシとしましょう。

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